3月一週目に南米のブラジルで開幕してから7ヶ月以上、アフリカ大陸のモロッコやヨーロッパ各地を転戦してきたWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)は、いよいよ終盤のアジア・ラウンドに突入する。
この週末、岡山国際サーキットで開催される「FIA WTCC Race of JAPAN」。3年連続でのWTCC日本開催となるが、この一戦がシリーズチャンピオン争いにとって如何に重要なものであるか、このページをごらんの皆さんなら既にご承知のことだろう。
改めて現時点の状況を記すと、選手権タイトル争いはほぼ三つ巴の展開。
今期からシボレーに移籍したイヴァン・ミューラー選手がリードを守り悲願のシボレー初タイトルを獲得を目指すが、3年ぶりの王座奪還を目指すBMWのアンディ・プリオール選手、そして2年連続チャンピオンとを狙うセアトのガブリエレ・タルクィーニ選手も終盤での逆転が十分可能なポジションにつけている。

テクニカルな要素が強い岡山国際、昨年はBMWのプリオール選手とアウグスト・ファルファス選手が勝利を分け合った。そして一昨年はリカルド・リデル選手とトム・コロネル選手というセアト勢が勝利。
そう、岡山国際ではシボレーが勝った経験が無いのである。
シボレーの最上位は昨年の第1レースでロブ・ハフ選手が獲得した3位表彰台。過去2年、4戦を開催した岡山で、シボレーが唯一表彰台に立ったのがこのレースである。
こうしたデータを見ると、「シボレーは岡山を苦手としている」と言っても間違いではないだろう。
しかし今シーズンは何といってもミューラー選手という大きな存在があることを忘れてはならない。一昨年、セアトに初のWTCCタイトルをプレゼントしたミューラー選手、もちろん今シーズンはWTCC発足初年度から参戦を続けているシボレーにとって「チャンピオン請負人」として迎え入れたのだから、かかる期待は大きい。シボレー・クルーズもデビュー2年目に入って熟成が進み、開幕戦から表彰台を独占するなど速さに磨きがかけられている。
岡山の見どころ、まずは三つ巴の選手権争い、中でもミューラー選手の戦いぶりからは目を離せないだろう。