ラリー界の頂点に君臨するのが「FIA世界ラリー選手権(WRC)」。
この中でグループNと呼ばれる改造範囲のマシンが戦う舞台、それが「FIAプロダクションカー世界ラリー選手権(P-WRC)」である。
　
その名の通りWRCと同日開催で世界を転戦。シリーズは全8戦のカレンダーが組まれているが、そのうち事前に各チームは参戦する6大会を指定して臨む。
　
グループNはWRカーと比べると圧倒的に改造範囲が狭く、厳しい制限の中でマシンが仕上げられている。
市販車に限りなく近いと言え、ゆえにベースとなる車の素性が戦いを大きく左右する。
P-WRCの主流は三菱ランサーエボリューションとスバルインプレッサ、ともに日本が世界に誇る先進の全輪駆動スポーツマシン。
　
競技は基本的に3日間で金曜日のレグ1、土曜日のレグ2、そして最終日となる日曜日のレグ3と進んでいく。また、大会によっては木曜日にホストタウンの市街地などでセレモニアルスタートを行い、スペシャルステージ(SS)を1本程度実施する場合もある。
日本国内のラリーと圧倒的に違うのはそのスケールで、SSの総距離で300km以上、競技全体の総走行距離は優に1000kmを超える。アベレージスピードも日本国内戦より遥かに高く、特に市販車に近いグループNマシンにとっては耐久性も想像以上のものが求められる。
さらに戦いの舞台もスノー＆アイス路面から灼熱の高地まで、世界各国の様々な自然が相手。
　
現在、モータースポーツ統括団体の頂点に位置するFIA(世界自動車連盟)がタイトルをかけているのは、P-WRCを含むWRCのほかには「FIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)」と「FIAフォーミュラワン世界選手権(F1)」のみ。
オフィシャルサプライヤーとしてADVANがワンメイクタイヤに指定されているWTCC、そして2006年は3勝を「ADVAN-PIAAランサー」が飾っているP-WRC。
ADVANのグローバルなモータースポーツ活動を象徴するカテゴリーのひとつ、それがP-WRCである。

今やP-WRCは、"Red in Black"のADVANカラーをまとうマシンの存在を抜きには語ることが出来ないだろう。
　
「ADVAN-PIAAランサー」、ステアリングを握るのは奴田原文雄選手、コ・ドライバーはダニエル・バリット選手。
　
奴田原選手のP-WRC本格参戦は2004年にスタート。
2006年にはコ・ドライバーにイギリス人のダニエル選手を起用、年齢こそ20代半ばながら200戦を超える参戦経験を持つダニエル選手の加入で、特に欧州を中心とした海外ラウンドにおける情報収集能力も強化された。
　
その結果、奴田原／ダニエル組は2006年のP-WRCで、伝統のモンテカルロ、ホームグラウンドである日本、そしてシリーズ随一の過酷さと言われるキプロスの3大会を制覇、ランキング争いでもチャンピオンと僅差の2位という戦績をおさめている。
　
チームは日本ラリー界の名門、タスカエンジアリングが母体。
設立以来、モンテカルロをはじめ海外ラリーへの積極的なチャレンジを続けてきているタスカエンジニアリング、マシン造りに留まらない参戦に関するノウハウの豊富さは強固なチーム体制の構築につながっている。
　
また2007年シーズンからはスバルインプレッサで参戦する「シムスレーシング」もADVANを選択。開幕戦ではクリスチャン・ソルベルグ選手がトップ争いの一角を占め、3位表彰台を獲得した。

奴田原 文雄　選手 =FUMIO Nutahara=
　
1963年12月・高知県出身。現在は北海道在住。
'86年にラリーデビュー、'90年から全日本ラリー選手権への参戦を開始。
'94年にADVANラリーチームの一員となり、'99年にはサラリーマンを辞めてプロ・ラリードライバーとなる。
同年、全日本選手権のCクラスで初のチャンピオン獲得。以降、2006年までに7回のチャンピオンに輝いている。
P-WRCには'04年より本格参戦を開始。'06年シーズンは3勝を挙げシリーズランキング2位を獲得した。
　
【LINK >> 奴田原文雄選手オフィシャル応援サイト】

ダニエル バリッド　選手 =Daniel Barritt=
　
1981年・イギリス生まれ。
'96年、16歳の誕生日を迎えて間もなくコ・ドライバーとしてラリーデビュー。
2002年に英国ラリー選手権でチャンピオンを獲得。
年齢は20代半ばながら、既に200戦以上への参戦経験を持ち、WRCでもコ・ドライバーとして様々な経験を積んでいる。
'05年シーズンは三菱ランサーエボリューションを駆るディビット・ヒギンズ選手とコンビを組んだ。
そして'06年、奴田原文雄選手のコ・ドライバーとなり、コンビとしてのデビュー戦となった開幕戦のモンテカルロで優勝。以降、計シーズン3勝を飾り、奴田原選手との抜群のコンビネーションを魅せている。