ADVAN / MOTORSPORTS [2011 FIA世界ツーリングカー選手権(WTCC) 参戦車両の概要＆主な参戦車種]

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WTCCはこれまで、排気量2,000ccのノンターボガソリンエンジン、または排気量2,000ccのディーゼルターボエンジンを搭載するマシンで競われてきている。

2011年はここに、新たに排気量1,600ccのガソリンターボエンジン搭載車が加わり、中心的な存在となる。このエンジンはWRC(FIA世界ラリー選手権)で使われるものと共通で、自動車メーカーにとってはより参戦しやすい環境が構築されたことになる。
従来型のSUPER 2000車両、特に2,000ccのノンターボガソリンエンジン車に対しては1,600cc直噴ガソリンターボエンジン車の方が圧倒的にパワフルで、最高出力の差は30～40psと言われている。このため、思ったよりも早いペースで新規定エンジン車への移行は進むことになりそうだ。

なお、エンジンはシーズンを通じて1回だけ交換可。この規定も'12年からはシーズンを通じて交換不可とさらに厳しくなる予定だ。ちなみに今季、ターボは6回まで交換可能と規定されている。

WTCCの基本的な車両規定は従来と変わらず、連続した12ヶ月に2,500台以上が生産され、4つ以上の座席を有するFIA公認車両がベースとなる。

そして車両重量は駆動方式や搭載するエンジンによって取り決められており、各車種の数値は次のようになっている。

・BMW 320TC ： 1,170kg (後輪駆動／1,600cc 直噴ガソリンターボエンジン)
・セアトレオンTDI ： 1,170kg (前輪駆動／2,000cc ディーゼルターボエンジン)
・BMW 320si ： 1,155kg (後輪駆動／2,000cc ガソリンエンジン)
・シボレークルーズ1.6T ： 1,150kg (前輪駆動／1,600cc 直噴ガソリンターボエンジン)
・ボルボ C30 2.0 ： 1,150kg (前輪駆動／2,000cc ガソリンエンジン)
・シボレーラセッティ 2.0 ： 1,140kg (前輪駆動／2,000cc ガソリンエンジン)

2011年のWTCCに開幕戦の時点で出場が予定されているマシンは全部で5つのモデル。
このうちBMW320については、新規定のエンジンを搭載する320TCと、旧来の2,000ccエンジンを積む320siが存在している。

C h e v r o l e t　 (C R U Z E)

■駆動方式： FF (前輪駆動)
■エンジン： 1,600cc 直噴ガソリンターボ
WTCC発足初年度からマニュファクチャラー体制での参戦を継続しているシボレー。2010年はドライバーとマニュファクチャラー両方のチャンピオンに輝き、悲願のタイトル獲得に成功した。
クルーズは2009年から投入されたマシンで、着実に熟成進化を重ねてチャンピオン獲得を実現。やや大柄なボディだが高速型のコースは得意な上に、旧型のラセッティよりも旋回性能が大きく向上して全体的な戦闘力を高めている。

S　E　A　T　(L E O N)

■駆動方式： FF (前輪駆動)
■エンジン： 2,000cc ディーゼルターボ

2008年と2009年、2シーズン続けてチャンピオンに輝いたセアト。フォルクスワーゲン傘下にあるスペインの自動車メーカーで、レオンはその主力車種に位置づけられている。
WTCCマシンの特徴は何といってもトルクフルなディーゼルターボエンジン。車両特性はややフロントヘビーであるが、溢れるトルクでグイグイと車体を引っ張っていくような感じだ。

B　M　W　(320TC / 320si)

■駆動方式： FR (後輪駆動)
■エンジン： TC/1,600cc 直噴ガソリンターボ、si/2,000cc ガソリン

世界中のモータースポーツにおいて、ツーリングカーの雄とも言えるBMW。WTCCでは2005年から2007年まで3年連続でチャンピオンを獲得した実績を誇っている。
唯一の後輪駆動ということでバランスの良さが光る。またスタンディングスタートを得意とするのも大きな特徴。大半のチームが開幕から1,600ccガソリンターボエンジンの320TCで参戦する。

V o l v o　 (C30)

■駆動方式： FF (前輪駆動)
■エンジン： 2,000cc ガソリン

WTCCにこれまでスポット参戦を続けていたボルボが、いよいよ2011年からマニュファクチャラー登録での本格参戦を開始する。
スウェーデンのポーラスター・レーシングとコラボレートして走らせるマシンはC30。セアト・レオン同様のハッチバックスタイルだが、こちらは3ドアという違いがある。エンジンは旧来のSUPER2000規定による排気量2,000ccの直噴ガソリンターボエンジンを搭載する。

C h e v r o l e t　 (L a c e t t i)

■駆動方式： FF (前輪駆動)
■エンジン： 2,000cc ガソリン

シボレー・クルーズの先代モデルにあたるのがラセッティ。車両特性としてはホイールベースが長いために直進性に優れる反面、旋回性能がやや劣る。ゆえに大きめのキャンバー角をつけるなど、独特の車両セッティングが施されている。開幕戦でバンブー・レーシングが出走させたが、今後はクルーズへの移行が見込まれるので、ラセッティは姿を消すことになるだろう。