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JRC Round 2
開催日
2013年5月3日-5日
開催場所
愛媛県・久万高原町 近郊
天候/路面
Day 1 : 晴れ/ドライ
Day 2 : 晴れ/ドライ
グラベル(非舗装路面)
総走行距離
258.66km
SS総距離
74.08km (15SS)
得点係数
1.5
(非舗装路 50km〜100km)
参加台数
47台(オープンクラス含む)
(ヨコハマタイヤ装着車 21台)
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大型連休の後半、5月3日から5日にかけて愛媛県の久万高原町をホストタウンに、全日本ラリー選手権の第2戦「久万高原ラリー」が開催された。今年もグラベル(非舗装路)ステージで競われることとなったこの大会は、今シーズンのグラベル初戦ということでシリーズの行方を占う上でも重要な一戦に位置づけられる。特にカレンダーはこの久万高原を皮切りに、第3戦の福島、第4戦の北海道・洞爺とグラベルラリー三連戦となるので、久万高原を制して勢いをつけていきたいところだ。

2日間で15本のSS(スペシャルステージ)、合計74.08kmで競われるが、Day1は昨年も使った大谷支線(6.31km)とスキー場(1.12km)に加えて、新たに設けられた東古味西谷線(8.35km)の3本の3回ループする設定。Day2ではイワタケ(3.22km)、この大会最長となる大野ヶ原線(9.03km)、そしてギャラリーが見守るスキー場を2回ずつループするかたちとなる。

3日(金)にレッキを行った各選手の口からは、勝負どころとなるロングステージの大谷支線や大野ヶ原線を中心にタフな路面であるというコメントも多く、勝負の行方は最後までわからないサバイバルな展開となることが予想された。

好天に恵まれた4日(土)のDay1、オープニングとなるSS1・大谷支線Tでステージベストを奪ったのは、スバルWRX STIの柳澤宏至選手/中原祥雅選手組。これに0.8秒差となる同秒の2番手でランサー・エボリューション]の奴田原文雄選手/佐藤忠宜組が続き、ヨコハマタイヤ勢がADVAN A035を武器に速さを見せる。続くSS2・東古味西谷線Tも柳澤選手組がベスト、奴田原選手組がセカンドベストを刻むと、連休中ということもあって大勢のギャラリーが詰めかけたSS3・スキー場Tではショートステージで特に速さを見せる奴田原選手組がベスト、柳澤選手組が1.2秒差の2番手となり、セクション1を終えて柳澤選手組がトップ、0.6秒差の2番手が奴田原選手組というオーダー。3番手の勝田範彦選手組は柳澤選手組の4.1秒後ろで、ヨコハマタイヤ勢がワン・ツー体制を構築していく。

2ループ目、SS4・大谷支線Uでは両者がさらにチャージ、奴田原選手組が1走目より11.6秒速いタイムでベストを刻むと、柳澤選手組も1走目を9.4秒上回るタイムでセカンドベスト。順位は奴田原選手組がトップに浮上し、柳澤選手組が2番手、3番手の勝田選手組は自身の1走目よりも1.5秒タイムダウンしたことから、トップの奴田原選手組との差は16.6秒へと拡大する。

しかし、SS5・東古味西谷線Uで奴田原選手組はパンクに見舞われてしまい、スローダウンを余儀なくされてしまう。対して柳澤選手組はセカンドベストであがってトップに返り咲き、その後もこのステージ3走目となるSS8・東古味西谷線Vでベストを奪うなど堅調な走りでDay1をラリーリーダーとして折り返した。

5日(日)のDay2も朝から快晴に恵まれ、久しぶりにラリー期間中を通じて好天となった今年の久万高原ラリー。
朝一番のSS10・イワタケTで16.7秒のマージンを持つ柳澤選手組が勝田選手組を2.4秒引き離すこの大会4回目となるステージベストで先制すると、ショートステージのSS12・スキー場IVでは奴田原選手組を抑えてベストを獲得。ここで勝田選手に対しては1.4秒差をつけマージンを17.6秒に拡大。

最後まで手綱をゆるめることなくフィニッシュを迎え、今シーズンのグラベルラリー初戦を優勝で飾ることに成功。優勝ポイントに加えて、Day1とDay2をともにトップであがっていることから、デイポイントも満点を加算する完璧な勝利となった。
一方の奴田原選手組は一時5番手まで順位を下げたが、最終ステージで3位に浮上して表彰台を獲得。こちらも不運に見舞われた中で、シリーズを戦う上では大きな結果をしっかりと残した。

JN3クラスでは、トヨタ86勢のトップを走っていた三好秀昌選手/保井隆宏選手組が、Day2のSS11・大野ヶ原線Tでドライブシャフトのトラブルに襲われてリタイアを喫するというまさかの展開に。三好選手組のみならず、多くのマシンが相次いで戦線を離脱してサバイバルな展開が色濃くなったJN3クラスだったが、そんな中で耐久性に定評あるプロトン・サトリアネオの明治慎太郎選手/松井和子選手組が4位入賞を果たした。

新旧ヴィッツにデミオやスイフト、コルトとバラエティ豊かな車種たちが鎬を削りあうJN2クラス。今回も11台という多くのエントリーが集まった中、初代ヴィッツを駆る川名賢選手/安東貞敏選手組が大谷支線の1走目と2走目でステージベストを奪取。一進一退の攻防戦を展開していくが、惜しくもDay1の終盤でトップの座を明け渡してしまった。しかし最後まで力走を続けて、2番手のポジションは守りきってフィニッシュ。
ヨコハマタイヤ勢では一昨年以来となるグラベルラリー参戦の加藤辰弥選手が松浦俊朗選手とのコンビで力走の結果4位、さらに南野保選手/石井貴大選手組も6位入賞を果たした。

JN1クラスでは、JN2クラスと車種は同じデミオながら、排気量1,300ccのマシンを新たに投入してきた宇田圭佑選手/石川恭啓選手組に注目が集まった。ニューマシンのデビュー戦ということで探りながらの部分もあったが、オープニングステージからベストタイムを奪う好走を見せる。
Day1では9本のSS中6本のステージベストを奪って、2番手の松岡竜也選手組に22.9秒の大差をつけてデイポイントも3点を獲得。
大量マージンを背景にDay2は後半でペースコントロールを行う余裕も見せて、堂々のニューマシンデビューウィン、そして自らも全日本選手権初優勝を飾った。
 
Driver's Voice
柳澤宏至 選手
 【今回の成績 : JN4クラス 優勝】
Day1の出走順が3番手だったので1ループ目で勝負かなと思っていたのですが、やはり上位陣は皆さん速いのでマージンは数秒しか稼げませんでした。でも、2ループ目以降でもプッシュを続けた結果、Day1を終えて16.7秒のマージンを稼ぐことが出来ました。去年の久万高原ではDay2でやられてしまっていたので、稼げるだけ稼いでおこうという感じでしたね。
Day2もやはり1ループ目が勝負だと思っていて、16.7秒のマージンが半分くらいにまで減ってしまうと勝田(範彦)選手も追ってくるでしょうから、ここで差を縮められないように走って上手く行きました。それで、2ループ目のロングでは石を避けて走る余裕も出来ました。
車は昨年の後半でとても良い感じに仕上がったので、昨年の久万高原よりはセッティングも出ていたので楽でしたね。この良い流れをしっかり掴んで、次の福島でも連勝できるように頑張ります。
奴田原文雄 選手
 【今回の成績 : JN4クラス 3位】
出だしは上々だったのですが、SS5で突然左コーナーでスピンしてしまい、その瞬間は何が起きたのか判らない状態でした。しかし、起こってしまったことは仕方ないので気持ちを切り替えて遅れた分を取り返しにいったら、SS8で再びパンクしてしまって……、なんとも不運としか言いようが無いですね。
こうなると、知らず知らずのうちに必要以上に石を避けたりして走り方もギクシャクしてしまう部分があって、守りにいってタイムが伸び悩んでしまった面があったことは否めません。Day2で逆転するべく攻めましたが、当然相手も逆転されまいと考えますから、残念ながら勝田選手の前に出ることは叶いませんでした。
しかし、最後の最後で3位に食い込むことは出来たので、シリーズを戦う上ではまだ序盤戦ですし、次からの戦いで挽回するチャンスは充分に残されていると考えています。
川名賢 選手
 【今回の成績 : JN2クラス 2位】
悔しいです!
タイトなコーナーが大きな課題だと思い知らされた一戦になりました。ロングコーナーについては、足回りのセットアップも上手く出来て良い感じでアクセルを踏んで行けたのですが、連続するタイトコーナーでは踏み切れていないんです。グラベルラリーに対しては自分のスキルアップももちろんですが、それに加えて物に頼るというわけではないですが足回りを中心にパーツの選択を変えてみたり、セッティングのトライも必要だということが見えてきました。
今回の2位はシリーズを戦う上では大きな結果。これを活かせるように、福島以降も頑張ります。
加藤辰弥 選手
 【今回の成績 : JN2クラス 4位】
Day1の後半から車の動きに慣れてきて、走り方も解ってきて思ったように走れるようになりました。Day2はそれを踏まえて朝一番のステージから良い感じで走れました。
僕自身、グラベルラリーは一昨年のRally Hokkaidoでオープンクラスにマーチで参戦したのが最後で、あまり経験がありません。久しぶりのグラベルラリー、しかもタフな路面で難しいこともあって、なんとしても完走しなければと思って最初は抑え気味に走っていたのも正直なところです。ですが抑えてばかりという訳にも行きませんし、コーナーリング中に大きな石が出てきたりすると、「どうしたらいいのだろう?」と悩みながらも試行錯誤した結果、パンクをすることも無かったので自分なりに上手く対処は出来たと思います。
次の福島に向けての手応えもしっかり掴めましたし、詰められるところがまだまだたくさんあることも判りましたので、福島では最初から全開で行きたいなと思っています。
宇田圭佑 選手
 【今回の成績 : JN1クラス 優勝】
スタート前は新車ということで不安も大きかったのですが、デミオを僕はナメていたんだと反省しています(笑)。練習にもなるし、ドライバーの操作が正解なのか間違いなのかも教えてくれる車です。インテグラの乗り換えということでパワーも落ちるし、きちんと乗れるかどうかも分からなかったのですが、今はデミオを造って本当に良かったと思っています。ループするステージでは走る度に自分でも乗れてきていることが分かりましたが、同時に自分の悪い癖も車に教えられました。
実はタフな路面ゆえにマフラーが走るほどに潰れてしまって、どんどんエンジン出力が落ちてしまったんです。ほかにもショックアブソーバーのアッパーが緩んだり、細かいトラブルは出てしまっていました。しかし、毎回サービスでしっかり対応してもらって、チームの総合力で掴んだ勝利ですし、同時に車を大事に乗ることの大切さを学んだ一戦でもありました。
 
TOPICS
今大会で大きな注目を集めたのが、オープンクラスにGC8型・スバルインプレッサで参戦した新井大輝(ひろき)選手(写真・左)。
ラリーデビュー2戦目、全日本選手権には初参戦となる19歳は、今年はERC(FIAヨーロッパラリー選手権)に参戦する日本を代表するラリードライバー・新井敏弘選手(写真・右)を父に持つサラブレッドだ。

「今回は車が全くきちんと仕上がっていない状態での参戦なので、ご期待に応えられる走りが出来たとはあまり思っていないんです。それに、自分のスキル不足もあるので、自己採点するならば50点がいいところでしょうね。まずは完走できて良かったです」

自分自身に辛口の自己評価をした大輝選手だが、その走りはやはり父・敏弘選手のスタイルを受け継ぐもので、コーナーではスピードレンジの違いはあるにせよ、進入からしっかり姿勢を作って豪快に駆け抜けていった。

「その走り方が一番安全なんですよ。姿勢を作っておけば、ミスをしてもスピンするだけで済みますから。Day1でそんな場面が実際にあって、ワダチの使い方に慣れていなかったので引っ掛けてしまったのですが、姿勢を作っていたのでコースから外れることなくスピンだけで済みました。
自分の中で、恐怖に対するある一線を超えると、そこからは安全だという意識があるんですよ。練習で走ってきた中で、特に雪道が良い練習になって、いつの間にかそのことが分かるようになったんです」

父・敏弘選手は、自分が18歳や19歳の頃と比べても速く、さらに練習などについてきても車を壊さないのは評価できると語った。しかし、偉大なる父の存在は大輝選手にとっては時にプレッシャーにもなるだろうが、それでもラリーの道を選んだというのも興味深いところだ。

「父の存在は、ラリーをやる以上、どうしても周囲のみなさんにとっては僕と切り離せるものではないことは覚悟していました。だから、今回も必要以上に意識することはないのですが、リタイアだけは出来ないという思いを持っていました。子供の頃からクルマやラリーが当たり前に身近な環境で育ったので、自分がラリーをいつの間にかやろうと思うようになって、実際にこうして始めたのも必然なのかもしれませんね」

次の参戦予定は第4戦の北海道・洞爺。世界チャンピオンのDNAを受け継ぐ若きサラブレッドには、ますます飛躍への期待が高まる。
 
AREA GUIDE
四国最大の都市・松山市の南、車で1時間ほどのロケーションにある久万高原町。現在では峠をトンネルで貫く三坂道路が開通したこともあり、松山方面からのアクセスも便利になっている。

この久万高原町は四国カルストに代表される豊かな大自然に恵まれ、「四国の軽井沢」とも呼ばれて観光に訪れる人も多い。実際、ラリー開催期間が大型連休中だったこともあり、街の中心部を通る国道33号は県外ナンバーをつけた観光・行楽客の車や、ツーリングを楽しむバイクが多く見られた。
松山市とのアクセスが良いことから、市内の道後温泉本館(写真)などと組み合わせて、久万高原町で自然の恵みを満喫するプランの旅を計画するのもお薦めだ。

また、四国と言えばお遍路を真っ先に思い浮かべる方も少なくないだろうが、久万高原町には四国八十八カ所霊場の半分にあたり中札所と呼ばれる44番札所「大寶寺」や、その奥の院とされてきた45番札所「岩屋寺」があり、お遍路さんにとっても大切な町のひとつに数えられている。
 
TECHNICAL INFORMATION
週末を通じて天候に恵まれた久万高原ラリーだが、その内容はサバイバルな色合いの濃いものとなった。今年は新たに9.03kmの大野ヶ原線が加えられた林道ステージだが、全般的にガレ場という表現も大げさではないタフな箇所が多く、こぶし大のやや鋭利な石やグレーチングはマシンやタイヤに容赦なく負担をかけていった。

そんな中で奴田原選手組にはアンラッキーな展開となってしまったが、優勝した柳澤選手組はパンクなどのトラブルも皆無で、二日間ともトップであがって優勝ポイントとデイポイントの満点を獲得。明暗を分けた要因のひとつとしては車種間の重量差も考えられ、仮に鋭利な石を踏むなど同じシチュエーションがあった場合に受けるダメージの大きさは異なってくるという面がある。

柳澤選手組はADVAN A035のSコンパウンドを使い、サービス毎にフロントタイヤを交換するローテーションで戦ったが、終始安定したステージタイムをマークしていたことからも、ADVAN A035の高いグリップ性能と優れたコントロール性能を遺憾なく発揮しての優勝だったと言えるだろう。
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