3月にイタリアのモンツァで開幕した2012年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)。初開催となった4つのコースを含めて世界中を転戦してきたカレンダーは、いよいよこの週末にマカオで最終戦を迎える運びとなった。
注目のチャンピオンシップ争いは、前戦の上海国際サーキット戦で明暗がわかれる展開となり、同点トップで臨んでいたシボレーのイヴァン・ミューラー選手とロブ・ハフ選手はハフ選手が第1レース(第21戦)を2位、第2レース(第22戦)では優勝を飾ったのに対して、ミューラー選手は第1レースをリタイア、第2レースは13位に沈む結果となった。
これによりミューラー選手はランキング3位に後退、ハフ選手が単独トップに立ち、これにアラン・メニュ選手が続くことに。
トップのハフ選手と2番手のメニュ選手の得点差は45、選手権ポイントは毎レース優勝者に25点が与えられ、予選でも上位5台に5〜1点が加えられるので、理論上はメニュ選手や51点差の3位となるミューラー選手にも逆転の可能性は残されている。
しかし、現実的にはハフ選手が2レースともリタイアに終わるなど余程のことが 無い限りは逆転が難しいのも事実。
しかし、最終戦の舞台はストリートコースが舞台のマカオ。ゆえに“余程のこと”が起こらないとは限らないのも、これまた事実である。
そこで注目したいのが予選の戦いだ。ストリートということで特に第1レースは上位のスターティンググリッドを獲得した選手が圧倒的に有利になる。データで見てもマカオの第1レースにおけるポール・トゥ・ウィン率は85%以上となっているからだ。
ちなみにマカオ戦の勝利数を見ると、最多勝は8勝を記録しているハフ選手。メニュ選手が6勝で続いており、ランキングトップと2番手の両選手がともにマカオを得意としていることがわかる。逆にミューラー選手はセアト時代を含めて意外にもマカオは未勝利だ。
さらに昨年の戦いを振り返ると、マカオで2連勝を飾ったのがハフ選手。このことからハフ選手が有利、という結論を導き出すこともできるが、逆に言えば昨年はパッシングが困難なマカオで果敢な攻めを見せたハフ選手が2連勝を飾っているし、2レースともに多重クラッシュからセーフティカーが導入される展開にもなっている。
つまり、今年も波乱の展開となる可能性は十分にあるわけで、奇跡の大逆転が起こる可能性は決してゼロではない。
いずれにしてもマニュファクチャラー参戦の締めくくりとなるシボレー勢、3台の青いクルーズを駆る選手たちによる最終決戦が最大の見どころとなるのだけは間違いない。