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インタビュー
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2006年のD1グランプリでシリーズチャンピオンに輝いた熊久保信重。
いち早くインプレッサを投入して話題となった際も、「D1を盛り上げるのが僕らの役目!いろんなクルマが走っていたほうが楽しいでしょう?」と述べていた彼は2007年夏、なんとランサーエボリューションを投入した。

マシンをスイッチした理由について熊久保選手はこう語る。

「そもそもランサーエボリューションでD1をやろうと思ったのは、今までインプレッサでやったんだから、そのガチンコのライバルで行きたいと思ったんですよ。熱烈なファンの多いしクルマだし、面白いんじゃないかと。今年(2007年)の東京オートサロンのときに決意を固めました。」

ラリーやレースなどあらゆるモータースポーツシーンで宿命のライバルとも言える関係にあるランサーエボリューションとインプレッサ。この両者はスペック的には似たようなプロフィールを持っているが、そのキャラクターは大きく異なると言われている。
例えばラリー界では"直線の速さに勝るランサーに対して、テクニカルコースをインプレッサは得意とする"と認識されている。

「走りの方向性は、実はインプとまったく逆。トラクションがガンガンかかってくれるし、フロントが巻き込むこともないです。
このランサーはエンジン縦置きにしています。以前、横置きのままでFRにしたランサーにも乗ったことがありますが、それでも前のインプよりもいいぐらいでしたからね。」


方向性は異なるが、戦闘力という面では大いに期待出来る素性の持ち主であると熊久保選手も自信を持っているようだ。
 
熊久保選手が駆るマシンをプロデュースしているのは、JUNオートメカニック。インプレッサからランサーエボリューションへの車種変更について、同社の小山進さんはこう語る。

「ベース車のノーマルに近い状態では一般的に言われるように"直線のランサー vs コーナーリングのインプレッサ"という性格の違いがあるかもしれませんね。
しかし、このクルマは見た目はランサーの格好をしていますが、D1における戦闘力を高めるために中身をガラッと作り変えているので、あまりそれは当てはまらないかなという感じです。
例えばリアサスペンションは、本来はアンチスクワットにより、アクセルオンでもあまり沈み込まないようになっているのですが、それをあえて沈み込ませるようにしてトラクションを稼ぐなどしています。」


"ランサーの格好をしているが、中身をガラッと作り変えている"と語った小山さん。先に熊久保選手が語ったように、駆動方式についてもFR化されており、しかもエンジン搭載方法も縦置きにされているなど、ノーマルモデルとの相違点は多い。
ということは、その製作にも相当の苦労があったと推測される。

「作る上での苦労ですか?それはもう全部ですよ(笑)。
縦置きにするだけでも大変ですが、フロアトンネルを作ったのなんて初めてのことです。FRにするために使用したパーツは、コストを抑える意味もあって(チームオレンジの)3台とも同じものを使っていますが、それを超えるパーツがないから、というのが大きいですね。
足まわりのセットアップは、インプレッサのときはハンドルの戻りが悪いことを解決するのにかなり手間取ったのですが、そのノウハウを生かして、ランサーでは問題なく仕上がっています。
エンジンルームのレイアウトは縦置きにして、熊久保選手はハンドルよりもアクセルで乗るドライバーなので、パワーよりもレスポンスをものすごく重視してセッティングしています。冷却についても100%問題なく仕上げました。
現状、想定していたよりも仕上がりは良好ですね。やはり不安材料があると、満足に走れなくなってしまいますから。その意味では出だしは上出来です。場所と状況によりますが、現時点でインプレッサを抜いている面も多々あります。」
 
期待と注目が集まる中、先のD1GP第5戦でデビューしたランサーエボリューション。熊久保選手のホームグラウンド、エビスサーキットでのデビュー戦は堂々のベスト8進出を飾り、2年連続のタイトル獲得に向けても"新兵器"が高い戦闘力を持っていることを実証した。
 
「今年のD1、ここまではとりあえず順調ですね。
今回(第5戦エビス)はベスト8で負けてしまいましたが、まわりのみんなも同じくらいのところで負けたので、結局ランキングは2位のポジションを守ることができました。シリーズチャンピオンは十分狙えますよ!」


全7戦で競われる2007年のD1グランプリも、残すところあと2戦。九州・オートポリス、そして富士スピードウェイというカレンダーになるが、ランキング争いは熾烈を極める。
第5戦を終えてランキング2位の熊久保選手、トップとの差は僅かに「2」、さらに3位の選手との差は「4」という混戦模様だけに、最終戦までタイトル確定は持ち越しとなる公算も大きい。

「タイトル争いについて、今シーズン最初は『まあいいか』と思っていたけれど、今は十分に狙えるところにいると思います。期待してください!」

小山さんのこの言葉は、ランサーエボリューションの戦闘力に大いなる自信を持っていることの現れだろう。
そして、熊久保選手も自信を覗かせながら、インタビューの最後をこう締めくくった。

「D1初の2連覇を目指して頑張りますので、ランサーファンの方もぜひD1を観にサーキットに足を運んでください!」


スペック
エンジン型式 4G63
排気量 2,200cc
最高出力 550ps程度
ターボチャージャー TD06-25G
エンジン関連 JUN2.2Lキット
ヘッドチューニング
トランスミッション ホリンジャー6速シーケンシャル
クラッチ オグラクラッチ
LSD CUSCO
サスペンション/ダンパー TEIN/DG5
ブレーキ グレッディ 6pod/4pod
エクステリア カーボンドア
アクリルウィンドゥ
タイヤ ADVAN Neova AD07
F) 245/40R17
R) 265/35R18
[Photo]
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プロフィール
熊久保 信重
=Nobushige Kumakubo=

1970年・福島県出身。
オレンジ色のマシンを駆る「チーム・オレンジ」の中心的な存在として知られ、2006年にはD1グランプリで悲願の初チャンピオンを獲得。
追走時に先行車の懐深くにノーズを入れる"クイコミ"を得意とし、これまでにもD1史上に残る幾多の名勝負を見せてきている。
 
小 山  進
=Susumu Koyama=

トップチューナーとしてその名を知られるJUNオートメカニックの中心的人物。
元々はエンジンの分解整備からスタートしたJUNオートメカニックは、エンジンの高性能化、そして車全体のパフォーマンス向上を担うプロフェッショナル集団へと進化、その象徴的な一台が熊久保選手の駆るD1参戦マシンであるとも言える。
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