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HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.65 News Index
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Shinichi Takagi
2月上旬、快晴に恵まれた富士スピードウェイ。
カローラアクシオGT N2がテスト走行に姿を現し、午前と午後に各40分の枠で計2本を走行しました。
ステアリングを握ったのは高木真一選手。カローラアクシオGT N2の"走り"についてお聞きしました。
高木真一 選手
高木 真一 選手
=Shinichi Takagi=
 
−テストドライブして、カローラアクシオGT N2のマシンはどんな印象でしたか?

高木選手 :
「私は初めて乗ったのですが、とてもリニアリティが高い車という印象を持ちました。
FF(前輪駆動)のレースマシンは久しぶりでしたが、今日は気温や路面温度が低かったので最初のうちはリアが出やすい傾向にあるのかと思っていたのです。
しかし実際に走らせてみるとそのようなことなく、"足"がしっかり動いている感じがしましたね。


−タイムは最終的に2分5秒台半ばまで伸びましたね。

高木選手 :
「そうですね。あくまでも今日はパーツの耐久性などを確認することが主な目的でした。
午前中はエンジンの回転も抑え気味に、走りも大人しく"コース内"でおさめていました。そこで良い結果を確認出来たので、午後は普通のレーシングレベルに攻めた走りもして、コース幅も"いっぱい以上"に使いました(笑)。
ですから最終的には現状でのポテンシャルを100%近くまで引き出した結果、2分5秒6というベストタイムになりました。このタイムについては、セッティングを詰めていくことでまだまだ速く出来るという手応えを感じています。


−「カローラアクシオ」という車について、ノーマル車と比べてみていかがですか?

高木選手 :
「"おじさんのクルマ"というようにも見えるカローラアクシオですが、N2で仕上げるとこんなにも変貌するものなんだと感心しました。オーバーフェンダーも、ちょっと懐かしい感じの格好よさがあって、レーシングカーらしく仕上がっていますよね。
私もレースの移動などでレンタカーのカローラアクシオを運転した経験がありますが、カローラアクシオが本来持っている良さをレーシングカーもしっかり受け継いでいます。
具体的には"走りの素直さ"。高い次元でニュートラルにコーナーリングが出来たりと、安全性にもつながるコントロール性能はレースにおいても扱いやすい優れた素材であると言えるでしょう。」


−装着されているADVANレーシングスリックタイヤの印象は?

高木選手 :
「レースで考えるとボディサイズに対してタイヤサイズは若干小さめ。しかし同じタイヤを装着したまま午前・午後合わせて27周を走行して、終盤に2分5秒台で連続ラップすることも出来ました。
今日はコンパウンドが若干硬めのものだったと聞いていますが、この低い気温・路面温度を考えれば充分なトラクション性能を見せてくれました。」


−2009年は富士で4戦が開催されますが、ズバリ富士攻略の秘訣は?

高木選手 :
「まずFFの基本的な乗り方をしっかり実践すること。そして、ボディに対して若干アンダーパワー気味でもあるので、ロスの無いスムーズな走りをすることが大切です。
その上で富士というコースの特徴にどう対応するか。長いストレートがあるので、しっかり車速をのせて行きたいですよね。
しかし高速セクションに対してテクニカルな低・中速セクションもありますから、セッティングをどちら方向に振っていくか。N2準拠というセッティングの幅がある車ですから、メンテナンスガレージにとっても腕の見せ所になるでしょう。」
MITSUHIRO SEKIYA
久しぶりに復活したN1を超える改造範囲が許されるN2規定をベースにしたワンメイクレース、カローラアクシオGTクラス。
コンセプトや発足の背景、将来の展望について、プロジェクトを牽引するTRDの関谷さんにお聞きしました。
関谷光弘 さん
関谷 光弘 さん
=Mitsuhiro Sekiya=

トヨタテクノクラフト株式会社
営業本部 トヨタ営業室
モータースポーツグループ長
 
−今日行ったテスト走行の内容と成果を教えてください。

関谷さん :
「今日で二回目の走行ですが、一回目のテスト走行で出た初期的な不具合に対して用意した、いくつかの対策部品の性能確認が主な目的でした。
車そのものはまだ本格的なレーシングレベルではなく、エンジンなどは市販するカローラアクシオGTに少しだけ手を加えた程度です。パワーで言えば155〜160psといったところでしょうか。
2分5秒6というベストタイムは予想通りのものです。これからエンジンにもう少し手を加えていくので、まだまだ速くなるでしょう。
テストメニューとしては、27周をしっかり走って全てのパーツがきちんと機能していることを確認出来ました。」


−なぜワンメイクレースの素材として「カローラアクシオ」を選ばれたのですか?

関谷さん :
「個人的にはWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)を見て、4ドアツーリングカーの格好よさに改めて憧れていました(笑)。
良い素材があって環境が許せば、WTCCはチャレンジしてみたいレースのひとつですね。
1500ccターボエンジンを搭載する素材としてカローラアクシオを選んだわけですが、周りには「なんだよ、カローラでやるの?」という声も実際にはありました。
しかしN2という規則に準拠した車なので、外観にも手を加えることが許されます。実際に造ってみたら「意外に格好いいね」と言われるようになりました(笑)。」


−N2規則をベースとすることになった背景は?

関谷さん :
「許される改造範囲の広いN2には、車を弄る楽しさがあります。ある程度の範囲で自由な部分があって、その中でレーシングガレージやショップが創意工夫することが出来ます。
一方では自由であるがゆえに競争が過熱して、経費がかかるようになってしまうことへの懸念もあります。
その点は富士スピードウェイとしっかりスクラムを組んで、手を加えることが許されるところとダメなところを明確にして、お金のかからないレースとなる規則を制定していきます。」


−ワンメイクレースでN2規則準拠というカテゴリーは最近ありませんでしたが。

関谷さん :
「N-0のヴィッツでコンプリートカーを造って売っているTRDが、N2を始めたというところが面白いでしょ?(笑)
ナンバープレートが付くN-0は、モータースポーツを広く普及させる効果が絶大です。しかし改造は厳しく制限されていることもあって、レーシングガレージやカーショップの勢いが弱まってしまっているように思えました。
私は仕事でSUPER GTなどにも行きますが、若いメカニックがなかなか増えません。モータースポーツは"3K職場"のように思われてしまって敬遠されているのでしょうか。
やはり若い息吹を入れなければいけないですよね。車を弄ることの楽しさ、創意工夫を重ねて車を速くすることの喜び。それを知って、実際にやってもらうためにはN2が最適だと思うのです。」


−エンジンには1500ccターボが採用されましたが。

関谷さん :
「元々TRDとして実績のあるエンジンというのが選んだ理由ですが、私個人としては排気量1500ccというところがキーポイントだと思っています。
もし2000ccエンジンでやろうとすると、適したエンジンが今はあまりありません。しかし1500ccエンジンは、トヨタに限らず各メーカーが持っているのです。
ということは大きな声では言えませんが(笑)、個人的には「1500ccターボ・カップ」に発展していく可能性も考えられるのではないかと。各メーカーの色々な車種が走って、成績に応じてWTCCのようなハンディバラストで性能を調整していくと、面白いレースになると思いませんか?」


−参戦経費の抑制にも力を入れられているとお聞きしています。

関谷さん :
「そうですね。まずカローラアクシオがベースということで車両本体もパーツも安価。調達も全国的に容易でしょうし。
さらに車両制作費や維持費を抑えるための工夫も採り入れています。例えばブレーキキャリパーは、他メーカーのN1車両と同じサイズを採用しています。
他にもバケットシートやステアリング、シートベルトなどなど、もしガレージや手元に余っているレーシングパーツがあれば、規則に沿ってそれらを効率的に使うことで安く車を仕上げることが出来るでしょう。
改造範囲が広いことのメリットを最大限に活かすことで、色々なパーツメーカーさんも参入しやすいように門戸を広くしているのが"カローラアクシオGTクラス"です。
最近は良く『レースをするためのベース車が無い』という嘆きの声を聞きますが、ちょっと発想を変えることで面白いレースが出来るだろうと思います。」


−日本のモータースポーツの将来に向けて可能性を感じますね。

関谷さん :
「これまでのお話しには、私個人の"妄想"も多分に含まれてはいますけれど(笑)。
最近の日本はモータースポーツについては暗い話題ばかり続いていますよね。私個人としてはこんな状況に納得出来ない部分もあるのです。
どうして最初にモータースポーツが切られてしまうのだろう、と。世界的に自動車メーカーは苦しい状況にありますが、ヨーロッパもアメリカも決してモータースポーツから我先にと手を引くようなことはしていませんよね。
残念ながら日本ではモータースポーツが"文化"として、まだまだ未成熟なように感じてしまいます。
ですからこの"カローラアクシオGTクラス"については、長い目で定着させて盛り上げたい。まずは2009年に富士スピードウェイで4戦を開催すると発表しましたが、ここでしっかりと地固めをしたいと考えています。
既に全国展開を望む声もありますが、もちろんそれは視野に入っています。各地でシリーズがあって、地区をまたいだ交流が生まれて。WTCCのようなビッグレースに参加者みんなで行ってサポートレースとして戦うなど、色々出来るのではないでしょうか。
しかし、最初に大きく風呂敷を広げてしまうと、何かの機会にレースがまるごと消滅してしまう可能性もあり得ます。
ですから"カローラアクシオGTクラス"はみなさんと一緒に楽しみながら、地道にしっかりと育てていきたいと思っています。」
TSUYOSHI YAEGASHI
開幕に向けて注目が高まるカローラアクシオGTクラス。熱戦が期待されるシリーズ、その走りを足元で支えるのがワンメイク指定されたADVAN。
開発を担当する、横浜ゴムの八重樫エンジニアに聞きました。
八重樫 剛
八重樫 剛
=Tsuyoshi Yaegashi=

横浜ゴム株式会社
モータースポーツ部
技術開発2グループ
 
−今日のテストはどのようなものでしたか?

八重樫エンジニア :
「今日はライフと安定性を重視したタイヤを試しました。
2月ということで気温や路面温度は低かったものの、タイム的にもドライバーのフィーリング的にも良い結果を得られました。
結果としては車の安定性が高くてキャパシティもあることがわかりました。
そこで次回は、もう少しグリップ性能を上げたタイヤを試しても良いかと思っています。」


−具体的には、どのようなものですか?

八重樫エンジニア :
「コンパウンドを改良してグリップ向上を図る方向ですね。
7月に開幕する実際のレースもスプリントなので、ライフとのバランスを少し見直して行くことも考えています。」


−ワンメイクレースのタイヤ開発で重視していることは?

八重樫エンジニア :
「ワンメイクレースのタイヤというのは、同一車種ゆえに開発が簡単そうに見えるかもしれませんが、実際には非常に難しい。
グリップとライフ、ふたつの相反する要素を如何に高い次元でバランスしていくか。
またクラブマンレーサーが主役ですから、ドライバースキルの幅も広くなる傾向にあります。するとタイヤの性能的に偏った"尖ったタイヤ"にすることは出来ません。安定性という要素が重要で、ビギナーでも乗りこなせつつ、経験者の走りもしっかり支えることが求められます。
こうした点については、長年に渡って横浜ゴムが国内外でいろいろなツーリングカーレースカテゴリーに携わってきたことによる経験、そして情報の蓄積が大きく貢献しています。」
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