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HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.95 News Index
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サーキットでパドックの一角に設けられているタイヤサービスガレージ。そこには多くのレーシングタイヤがあり、そしてADVANカラーをまとう大型トラックやトレーラーが精悍な姿を見せています。

横浜ゴム・三島工場で作られたADVANレーシングタイヤ。
工場で産声をあげたタイヤたちは倉庫に運ばれて管理・保管され、大型トラックなどで全国のサーキットをはじめとしたモータースポーツ会場へと運ばれていきます。

"レーシングタイヤの一生"、第2弾は「物流編」。
モータースポーツ会場では当たり前のレーシングタイヤがある風景、勝つために生まれたタイヤを大舞台まで運ぶスタッフたちの横顔に迫ります。
 
 
【1】 三島工場から岳南運輸倉庫へ出荷
レースに使用するタイヤがすべてそろうまで、岳南(がくなん)運輸倉庫で保管。
【2】 倉庫から大型トラックで各サーキットへ配送
レースウィークの水曜日から木曜日にかけて、先発隊と後発隊に分けて大型トラックやトレーラーで輸送。サービス場所で使用する機材なども同時にサーキット入りする。
【3】 サービステント設営、タイヤ組みスタート
木曜日から金曜日にかけてはタイヤサービステントを設営しつつ、順次タイヤを組む作業にかかる。SUPER GTの場合、マーキングタイヤは金曜日の夕方にGTAから指定された時間までに用意しなければならない。
【4】 各チームへタイヤを引き渡し
チームが用意したホイールにタイヤを組み付け、配布する。
 
三島工場で生産されたADVANレーシングタイヤは、岳南運輸倉庫に移されて保管されます。
国内外のレースやラリーなどのモータースポーツシーンで活躍するタイヤは、この倉庫で静かに"出陣"の時を待つことになります。
戦いの舞台へ、確実にタイヤを届ける。この当たり前のことを粛々とこなしていくスタッフは、決して表舞台に立つことはありませんが、ミスは許されない重責を担っている重要なポジションの存在。
レーシングタイヤを保管・管理する岳南運輸の勝又邦彦さんに、その仕事の内容と一連の流れなどをお聞きしました。

−勝又さんは、こちらの倉庫での仕事を始めてどれぐらいになりますか?

岳南運輸 倉庫部 管理課・勝又邦彦さん
勝又邦彦さん (岳南運輸有限会社 倉庫部管理課) :
こちらの倉庫で働き始めて22年になります。もともとはトラックドライバーでしたが、倉庫管理もやるようになってから14〜15年というところでしょうか。


−倉庫にはどれぐらいのタイヤが入っているんですか?

勝又さん :
この岳南運輸倉庫には、横浜ゴムのレーシングタイヤすべてと、一部の一般車用タイヤが集まってきます。外国へ輸出するレーシングタイヤも全てこちらに集まるので、倉庫に入っているタイヤの数はその都度変わってきます。
今回のSUPER GT第6戦・鈴鹿700kmレースでは、GT300だけでも1900本、GT500で100本ちょっとのタイヤが出て行きますが、使わなかったものはまたこちらに戻ってくることになります。


−倉庫でのお仕事で気をつけていることはなんでしょう?

勝又さん :
タイヤの倉庫保管で一番に気をつけているのは安全面ですね。それと商品を傷つけないこと。うちではタイヤにパンツを履かせて出荷しています。誤出荷防止は大前提です。
最近は横浜ゴムのユーザーも多くなってきたので、サーキットへ向けてのタイヤ出荷を2日間に分けているのですが、同じスペックのタイヤでも先発隊と後発隊で本数が分かれたりもしています。トラックへ積み込む前に指定されたタイヤを集める人間、そして積み込む人間、最終的にはトラック運転手にも確認してもらい、二重・三重のチェックを行っています。
みんなこの仕事に関してはベテランばかりですが、気を抜くとミスも生まれますから、焦らず丁寧に、ということも心がけています。おかげさまで誤出荷というのはありません。


−倉庫での作業の流れというのは?

勝又さん :
1日の仕事の流れですが、午前中は各方面への出荷作業がメインになり、午後は新しいタイヤ、戻ってくるタイヤの倉入れ作業が中心になります。お昼時に集中してトラックがタイヤを持ってきますから、午後イチが一番忙しくなりますね。全部手積み、手卸しなのでなので大変ですよ。そうそう、WTCC用のタイヤは、デカールを張る作業もここでやっています。
出荷トラックの運転手たちとは付き合いも長く、みんなプロなので仕事がしやすいですね。時には冗談も言いながら、気持ちよく仕事ができています。(サーキットから)戻ってきたタイヤを倉庫に戻す時なんかは、『今回のレースはどうだった?』なんて話しながらね。富士でレースがあるときは見に行ったりもしますよ。


−どのタイヤがどんなクルマに付けられるのか、なんて考える余裕もないぐらい忙しそうですね。

勝又さん :
そんなことはないですよ。
出荷チェックをするときも、タイヤの大きさや色ゴム、サイドに書いてあるナンバーで、なんとなくどのクルマに装着されるタイヤかが分かります。
我々の仕事はあまり目につかない、影の仕事かもしれませんが、ADVANユーザーの皆さんの足元を支えている一部だと思っていますから、やっぱり勝った時には嬉しいですね。
 
 
岳南運輸倉庫から、全国のサーキットなどモータースポーツ会場まで運ばれるADVANレーシングタイヤ。
これらを安全・確実に運んでいるのが、幾多のモータースポーツシーンで栄光の歴史を刻んできたRed in BlackのADVANカラーにペイントされたトレーラーや大型トラックです。
タイヤ、さらにはサービス用機材などを積んで北海道から九州までを駆け抜けるADVANトラック。誇りと責任を胸に走るトラックドライバー、杉崎運輸の小泉仁さんと、遠州トラックの市川周二さんが"質の高い物流"について思いを語ります。

−小泉さんがトラックで運ぶのは、タイヤではないと伺いましたが。

杉崎運輸 レース部・小泉 仁さん
小泉 仁さん (杉崎運輸株式会社 レース部) :
そうですね。私が運んでいるのはサービスで使用する機材です。うちの倉庫に、横浜ゴムの機材が一式置いてあるので、依頼に応じてサーキットに持ってきます。
いま倉庫の中には、SUPER GT用の機材とスーパー耐久用の機材、カート、ラリー用の機材が置いてあります。他にも、サインガードやテントを一式。基本的には、各サーキットにあるタイヤメーカーのガレージに入っていないものを持ってきます。
タイヤを運ぶのにも気をつけていると思いますが、私が扱っている機材も機械ものなので、ベルトで固定したり発泡スチロールをつめたりして、壊さないように運んでいます。


−ちなみに、SUPER GT鈴鹿700kmではどんな機材を運んできたのでしょうか?

小泉さん :
今回は、バランサーを3台、チェンジャーを2台、コンプレッサーが1台、それにタンクが1つです。普段はバランサーは1台なのですが、やはりタイヤ数が多いので今回は3台持ってきました。鈴鹿のガレージはサポートレースが使うので、その分持ってくる機材も多くなりますね。


−サーキットの現場では、どんなお仕事をされているのでしょうか?

小泉さん :
タイヤを運んできたスタッフたちと一緒に、テントの設営や機材の設置です。その後はサービス作業を手伝っています。
最近トレーラーを新車にしましたが、今回のクルマは2段仕様になっていて、機材を降ろした後は1階部分をスタッフの休憩場所にできるようにしました。鈴鹿はガレージが狭いので、タイヤを運んできた運転手たちの休憩場所がないのです。それで、横浜ゴムとKパワーズと話し合って、2段仕様のクルマにしました。


−ADVANカラーのトレーラーは、運転していても注目されると思うのですが。

小泉さん :
その通りですね。赤黒のADVANカラーは、やはりネームバリューがありますから運転には特に気をつけています。
追い越しをされるときは、相手の速度がゆっくりになることもあって、注目されていることを感じますよ。だからこそ、下手な運転はできないですね。


−サーキットによっては道が狭かったりして大変ですね。

小泉さん :
サーキットの中で特に気をつけているのはツインリンクもてぎですね。あそこはパドックに入るためのトンネル幅が、狭いので神経を使います。
サーキットへの道中で考えるとオートポリス。ヘアピンになっているコーナーは、反対車線に出ながら曲がっていかないとキツイです。


−なかなか、大変な仕事だというのがよく分かりました。

小泉さん :
だから、ということなのか、なかなか若手がいませんね。レースの仕事は特殊だし、本当に好きじゃないとできないと思いますよ。手積み、手卸しが基本だし、なんだかんだとレース中はひっきりなしに動いてますから。
我々は運転手でもあり、サービスのスタッフでもあるんです。でもここまで続けられているのは、やっぱりクルマが好きだから。それに、ADVANユーザーが優勝するのを見ると嬉しくなります。ここで働いてるスタッフは、どんな荷物を運んでいようと、どんな仕事をしていようと、みんなADVANの仲間ですからね。
 
■市川周二さん (遠州トラック株式会社 春日部営業所 輸送部)

私は今年でトラックドライバーを始めて20年になります。横浜ゴムの仕事をする前は、お酒の配送をしていました。積み荷を傷つけないように運ぶ、というのは共通していますね。
ずっと手積み、手卸しの仕事です。定時配送はもちろん、荷物を安全に運べるかどうかに気をつけています。スピードもあまり出さずに、丁寧に運びます。
横浜ゴムの仕事は、移動スケジュールがゆったりと作られているので、体力的にも余裕を持って仕事ができていますが、たとえばオートポリスへの移動などは神経を使いますね。道自体が細い上に、夜中は霧が出て危険なので、昼間のうちに移動します。
 
 
ADVANトラックのドライバーは、サーキットなどのモータースポーツ会場に入るとタイヤサービススタッフに"変身"します。
自らが丁寧に運んできたタイヤを、各チームから持ち込まれるホイールに組み付けて引き渡しますが、SUPER GTなどではその数も膨大な量になります。
倉庫での積み込みからチームへの引き渡しまでを、SUPER GTなどで一元的に管理しているのが遠州トラックの平塚浩樹さん。自らもトラックドライバーとして運んできたタイヤ、その1本1本を確実にユーザーの元へ届けています。

−平塚さんは、タイヤ管理の責任者ということですが。

遠州トラック 春日部営業所 輸送部
班長・平塚浩樹さん
平塚浩樹さん (遠州トラック株式会社 春日部営業所 輸送部 班長) :
そうですね。タイヤサービスの仕事は11年ぐらいやっていますが、今はサーキットに持ってくるタイヤの管理をしています。基本的には、モータースポーツ部の担当者が作成した出荷依頼に基づいて仕事を進めています。
SUPER GTでは、各チーム最大6セットのタイヤを事前にマーキングするので、この6セットは先に積み込みます。6セット×20チーム×4本で、多いときで480本ぐらいです。


−GT300のユーザー数が多いので、タイヤも相当な数になるのですね。

平塚さん :
マーキング用の他にも、先発隊に持って行くタイヤが何本、後発隊で何本というタイヤの出荷本数が決まってから、どのトラックに何を積むかを考えます。どの仕様のタイヤがどのトラックに積んであるかは、大体頭の中に入っていますよ。
チームがなかなか仕様を決められなかったりするとオーダーが遅れるので、その分積み込みも遅れてしまうことがあってちょっと大変ですね。


−サーキットについてからの、作業の内容を教えてください。

平塚さん :
サーキットに入って最初の仕事は、サービス場所の設営です。これを終わらせてからタイヤの準備に入ります。
サーキットに持ってきたタイヤの中で、ドライタイヤに関しては自分でセットナンバーを書いていきます。ゼッケンとセットナンバー、それとフロントかリヤか、右か左かを、480本全てにです。
それから金曜日に、ようやくタイヤの組みつけをスタートさせます。これらの流れは毎戦同じですね。倉庫から持ってくるときももちろんですが、タイヤの組みつけに関しても、間違えないよう組みつけることに気をつけています。自分自身でも二重・三重のチェックは欠かせません。


−サーキットの現場では、チームからの急なオーダーで、タイヤが変更されることもあると思うのですが。

平塚さん :
そういうこともありますね。でも、現場スタッフとの連絡を密にしているので、変更点を知らずにアクシデントになった、ということはあまりありませんよ。


−今までの仕事で辛かったことはありますか?

平塚さん :
やはり、タイヤの本数が多くなるレースは大変ですね。鈴鹿700kmもそうですが、十勝24時間レースも大変でした。あの時はタイヤの本数に比べて作業スタッフが少なかったですから。


−そんな大変な仕事でも、やはりやっていて嬉しいことがあるから続けてらっしゃるんですよね?

平塚さん :
そうです。やっぱりADVANユーザーが優勝した時はすごく嬉しいですね。
 
 
 
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