Your browser does not currently have the Flash Player version 8 that is required to view this site.
Please click here to download the latest Flash Player version.
HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.107 News Index
  ひとつ前にもどる  
地中海西部に浮かぶコルシカ島。フランス本土のニースからは約180kmほど東に位置している。
豊かな自然に恵まれた島では、オリーブやオレンジの栽培が盛ん。
しかし、農業以上に主要な産業と言えるのが観光で、マリンスポーツを楽しめるリゾート地として人気は高い。特に島の南部には白い砂のビーチが続いており、ゆったりとした時間の中に身を置く観光客の姿が多く見られる。
 
 
今回の漫遊記はヨーロッパ、地中海に浮かぶコルシカ島(フランス)にやってきました。5月12日から14日にかけて開催された、IRC(インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ)第3戦の「ツール・ド・コルス」の視察が目的です。

モンテカルロやアクロポリスと並び、世界的に有名なこのラリーは1956年より開催され、'73年にはWRC(FIA世界ラリー選手権)カレンダーの重要なラリーのひとつとなり、2008年まで続いてきました。'09年よりフランス本土(アルザス地方)にWRCの舞台は移りましたが、伝統のツール・ド・コルスは今年、IRCに舞台を変えて開催されました。
ターマック(舗装路)ラリーの代名詞ともいえるツール・ド・コルスは、「直線が100mあるとコルスではない」とか「10,000のコーナーを持つラリー」などと称されています。

コルシカ島は四国の半分ほどの大きさですが、その中央部には2,500mを超える急峻な山岳地帯が連なり、平地は少なくて海岸線まで切り立った岩場が続いている場所が多く見られます。断崖絶壁ともいえる山肌を縫うように走るラリーカーは、見ていても鳥肌が立ちます。

かくいう私も、このラリーには2004年に参戦して、PWRC(FIAプロダクションカー世界ラリー選手権)で5位の成績でフィニッシュをしています。
ギャラリーのひとりとしてコースを眺めると、その険しさに驚きますが、SS(スペシャルステージ)を全開走行しているドライバーにとっては、周りの景色を眺める余裕なんてありませんから、どんな場所を走っているかなんて意識はないのです。「恐くないのですか?」という質問をよく受けますが、外から冷静に眺めてみると恐いですよね(笑)。
 
IRCの特徴のひとつに、それぞれの大会が持っている独自のフォーマットを尊重していることが挙げられます。
たとえば今回の「ツール・ド・コルス」ではコルシカ全島にコースが広がり、サービスもそれに伴い日々移動していくという、昔ながらのラリースタイルをとっていました。この方式はIRC開幕戦のモンテカルロ・ラリーでも取り入れられていました。

近年のラリーではサービスパークはひとつの場所に固定で行なわれることが主流となり、よってステージのバリエーションも単純になりがちな傾向にあったのです。
しかし今回はサービス隊もギャラリーも、ラリーを追って島内を移動していく変化に富んだコース設定になっていました。もっとも、ラリーカー到着前にサービスを設営し、ラリーカーを送り出してから最後に移動するサービス隊にとっては、過酷そのものですけれどね。主催者にとってもその苦労は大変なはずですが、それもまたラリーの醍醐味でしょうか。

競技は5月12日にコルシカ北西部の街CALVIをスタートし、地中海を臨む海岸沿いのステージから始まりました。
翌13日は中部山岳の街CORTEに移動。2,000m級の山々に囲まれた山岳ステージが舞台です。そして最終日の14日はコルシカの代表的な玄関口、アジャクシオにゴールするという、ステージの合計距離320km、総走行距離1,162kmで争われました。
 
IRCのもうひとつの大きな特徴として、スポーツ専門の放送局であるユーロスポーツが、その運営を担っていることが挙げられます。ヨーロッパ各国はもちろん、世界中に衛星放送などで配信されているIRCですが、今回はその最前線である中継車両の中に入ることができました。

中継車両内では多くのスタッフが画面を見つめ、カメラの切り替え指示や、VTRチェックなど、緊迫した空気が流れていました。ラリー最終日の14日は、朝9時よりSS(スペシャルステージ)を生中継で全世界に向けて放映。トップ10台のラリーカーには車載カメラを搭載し、さらにヘリコプターからの空撮映像はもちろん、ステージ内の各所にカメラを数台配置して映像を送ります。

またゴール直後のドライバーズインタビューもリアルタイムで視聴者に届けて、喜びの表情を余すところなく伝えていました。こうした映像は全世界中に配信され、多くの視聴者がこの「ツール・ド・コルス」、そしてIRCの興奮と感動をを堪能したことでしょう。
[UPDATE : 17.Jun.2011]
       
ひとつ前にもどる