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HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.64 News Index
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[Chapter 1]
チームでの"お仕事"
[Chapter 2]
2008年・私のベストレース
[Chapter 3]
ドライバーの"通信簿"
[Chapter 4]
タイヤ造りに"懸ける思い"


Chapter 4
大いに盛り上がったSUPER GTのGT300クラスを戦うADVAN装着チームのエンジニア&監督が集まっての新春座談会。
最終回となる今回は、ADVANのタイヤエンジニアとコンパウンダーが、SUPER GTに懸ける熱い思いを語ります。
 
【ADVAN ENGINEER】
石黒 禎之
横浜ゴム株式会社
モータースポーツ部
技術開発1グループ
GT300担当エンジニア
中野 秀一
横浜ゴム株式会社
タイヤ材料設計部
材料設計4グループ
コンパウンダー


TIRE Developer
GT300クラスでは、ADVANを装着した多くのチームが常に優勝争いを繰りひろげています。
激戦区を戦っているADVAN、"戦うレーシングタイヤ"を開発するエンジニアは、タイヤ開発の源流を知るためにモータースポーツの世界をフィールドとして選んだと語ります。


石黒禎之 (横浜ゴム株式会社・モータースポーツ部)

「私はGT300の担当になって丸三年が経ちました。
入社して最初に配属されたのは、タイヤの静的なデータを採る部署。ですが、元々がクルマ好きだったということもあって、自ら直訴してテストコースでタイヤ評価をするドライバーに異動しました。
1997年から8年間、ドライバーとしてタイヤの評価に従事したのです。
この経験は、今のモータースポーツタイヤ開発にとても役立っています。それは現在の仕事に就いた一年目から感じましたね。
ドライバーからモータースポーツ担当に変わったキッカケは、タイヤをより深く知るために、乗って評価するだけではなく造る側としてタイヤについて一から勉強してみたいと思ったからです。」


−モータースポーツ担当になっての感想は?

石黒禎之 (横浜ゴム株式会社・モータースポーツ部)
 
「モータースポーツに来てみたら、仕事が楽しくてしょうがない。
でも、元々は、2年勤めたら評価ドライバーに復帰する予定だったのです。ですから一度は皆さんに『僕は異動になるので、担当者が変わります』と挨拶までしました。
そうすると、チームの皆さんから『担当者を石黒から代えるな』と仰っていただけました。別に私が特別だとは思いませんし、現実的には担当者が短い期間で変わることを快く思われないという理由が大きかったとは思いますが、この出来事はとても嬉しかったですね。」
−タイヤの本質ともいえるゴム、すなわちコンパウンドを司る中野秀一。
材料畑を一筋に歩んでいる彼にとって、モータースポーツは"ゴム"の果たす役割が特に重要な世界だと語る。

中野秀一 (横浜ゴム株式会社・タイヤ材料設計部)

「私は入社6年目なのですが、会社に入ってから今まで材料関係の仕事にずっと携わってきています。
モータースポーツには2006年の鈴鹿1000kmあたりから関わるようになりました。もっとも最初はGT500のウェットタイヤを担当したので、車種も多いGT300クラスについては良く分かっていませんでしたが・・・(笑)。
モータスポーツというのは、特にウェットタイヤの性能はゴムに係る部分が大きいのです。
昨年(2008年)からGT300クラスを担当するようになったのですが、特に雨になった最終戦では難しいコンディションの中で、ある程度の結果を出せたのではないかと思っています。」
−中野の発言を受けて、石黒がウェットタイヤの進化について振り返ります。

石黒禎之 (横浜ゴム株式会社・モータースポーツ部)

「2008年シーズンについては、ウェットタイヤの性能向上が開発にあたって大きなテーマのひとつでした。
パフォーマンスのレベルとしてはまだ満足出来ている訳ではありませんが、終盤にかけて方向性のまとまった仕様を造り上げることが出来たのではないかと思っています。
特に最終戦では、良い手応えを感じることが出来ましたね。」


−GT300クラスはバラエティ豊かな参戦車種が人気。
タイヤ開発の立場として、車種の多さは難しさにつながっている部分があるのだろうか。


石黒禎之 (横浜ゴム株式会社・モータースポーツ部)

「これだけ多種多様なクルマが競い合っているGT300クラスですから、それぞれの車両特性を考えてタイヤを開発するというのは、生易しいことではありません。
しかもGT300クラスというのはテストの機会も少ないので、何か新しいことを試すというのが実戦の場で、ということも珍しくないのです。
限られた時間の中で良いものを造る、これは本当に難しいんですよ。」


−具体的な車種の違いによる難しさとは何なのだろう。

石黒禎之 (横浜ゴム株式会社・モータースポーツ部)

「例えば紫電とIS350。この2台は見た目もそうですが、同じミッドシップレイアウトなのに車両特性が全く異なります。
もし一方が速いタイムを出したとすると、もう一方としては『アイツの履いているタイヤの方が良いんじゃないのか?』と思うのも自然なことですよね。実際にドライバーから『あっちの車が使っているタイヤを持ってこい!』なんて言われることもありますし(笑)。
そこには『隣の芝は青く見える』的な感情もあるのかもしれませんが、実はタイヤの開発手法としてはあえて別車種用のタイヤを使って評価してもらうというのもアリなんですよ。
ADVANがワンメイク供給しているWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)もそうですが、駆動方式や車種が異なっても高いレベルのアベレージを出して勝ちを狙えるタイヤ、というのがモータースポーツにおけるタイヤ開発の理想ですね。」
−では国内はもちろん海外にも転戦するSUPER GT、サーキットコースの違いはタイヤ開発でどのくらい考慮されるのでしょう。


石黒禎之 (横浜ゴム・モータースポーツ部 技術開発1グループ)

「これは私自身の考え方ですが、車種に合わせたタイヤを造ろうとは思うのですが、個々のコースに合わせたタイヤを造ろうという考えは持っていません。
そんな中で、私が評価基準としているサーキットは、鈴鹿サーキットです。鈴鹿で良い評価を頂けないタイヤは、他サーキットでも良いパフォーマンスを発揮する事は、少ないです。反対に鈴鹿で良かったタイヤは、他サーキットにおいても高いパフォーマンスを発揮する傾向にあります。
これはあくまでも私の経験値に基づく話ですが、鈴鹿というのは車種を問わずシビアリティを出すコースなのでしょう。
だから開幕前のテストや開幕戦が鈴鹿で行なわれて、そこで良い結果を出せると手応えを感じてのシーズンインとなりますね。」


−チームエンジニアの皆さんも、石黒の考え方にうなずく。

河野高男さん (RE雨宮レーシング)

「車両の側でいえば特性の差があるので、コースによる得意・不得意がありますね。
皆さん、コースに応じてセッティングを変えて対応しているでしょう。
でもウチのRX-7はちょっと他の車と違うところもあって、路面温度に応じてコンパウンドは変わっても、構造については常に同じ種類を使っています。この構造は石黒さんが造ってくれたのですが素晴らしいものですね。」


渡邉信太郎さん (Cars Tokai Dream28)

「車の側から見たコースの違いという面では、鈴鹿サーキットとツインリンクもてぎでは全く別の世界という感じです。
でも石黒さんが言われたように、車についても鈴鹿できちんと走られれば他のコースでも良いパフォーマンスを出してくれると思います。そういった意味では、鈴鹿というのは車にとってもひとつのベンチマークになるコースですね。」


澤田 稔さん (R&D SPORT)

「これだけ色々な車種が存在している中で、全ての車種で高いアベレージにある性能を有するタイヤを造っている。
これはADVANならではのことだと思います。」


−中野はコンパウンダーの立場から、コースに加えて"重さ"の違いがタイヤに与える影響が小さくないという。

中野秀一 (横浜ゴム株式会社・タイヤ材料設計部)

「コースによってゴムにかかる負担は変わってきます。
しかしパフォーマンスを上げる為には、ただ単純にゴムを柔らかくしたりすれば良いというものではありません。
ウェイトハンディなどで車両重量が増えたとしてもグリップダウンさせないようにしていますが、やはり重さというのはゴムとっては"大敵"ですね(笑)。」
−SUPER GTという激戦の舞台を"職場"としているエンジニア。その本心を最後に石黒は口にしました。


石黒禎之 (横浜ゴム・モータースポーツ部 技術開発1グループ)

「これまでGT300クラスを担当してきて、シリーズチャンピオンを獲得して嬉しい思いもしましたし、もちろん逆に悔しいレースもあったりしました。
その中で常に『SUPER GTのGT300クラスにおいて、タイヤはどうあるべきか』ということを考えながら開発をしています。
いつも『難しい仕事だなぁ』と思っているのですが、今回お集まりいただいた皆さんにも助けられながら楽しく仕事が出来ています。
世の中で好きな仕事に就いてお金をもらえている人というのは限られていると思うのです。
私はそのうちの一人。本当に恵まれていると思います。
もちろん遊びでモータースポーツをやっているわけではありませんから、現状に満足することなく、より良いタイヤを開発していけるようにこれからも頑張っていきますので、ファンの皆さんにもADVANと共に戦っているチームを一層応援していただきたいですね。」
絶え間なく、より高いポテンシャルを求めて続けられているADVANレーシングタイヤの開発。
車種やコースを問わず優勝争いを繰りひろげているADVANレーシングタイヤの進化は、横浜ゴムの高い技術力や開発力に加えて、生み出されたタイヤを使って戦うレーシングチームの皆さんにも支えられているからこその成果。
ユーザーであるチーム、ステアリングを握るドライバー、そしてADVANの開発陣が一体となって、これからもADVANレーシングタイヤは栄冠を目指して進化を続けていきます。



山水亭
今回のGT300エンジニア新春座談会、その舞台となったのは神奈川県伊勢原市にある「豆腐本陣 山水亭」。

このお店はGT300で紫電をドライブする加藤寛規選手のご実家、丹沢の清らかな深層地下水を使って作られている「大山豆腐」を味わうことが出来るお店です。
メニューは「豆腐会席」をはじめ、地元産の豚肉を使った「豆乳鍋」などバラエティ豊か。

国道246号沿い、東名高速道路の厚木インターチェンジから約15分というアクセスの良いロケーションで、駐車場も完備しています。ご家族や友人同士での会食にはもちろん、箱根や伊豆などへのドライブ帰りのお食事にもお薦めのお店です。


■豆腐本陣 山水亭
  神奈川県伊勢原市白根575番地
  電話番号 : 0463-91-0080
  営業時間 : ランチタイム 11時30分〜15時40分(L.O. 14時30分)、ディナータイム 17時00分〜22時00分(L.O. 21時30分)
  定休日 : 年中無休
  【LINK >> 豆腐本陣 山水亭】 
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