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[vol.1] 全日本ラリー選手権とは? [vol.2] ラリーの全体像を知ろう! [vol.3] 知っておきたい観戦ノウハウ [vol.4] ラリー開催地の観光と食
モータースポーツの観戦は、日本においてはまだまだ「敷居が高い」と思われていたり、どのように楽しめばよいのか分からないという印象を持たれていること多いだろう。
もちろん実際にはそのようなことはなく野球やサッカーのように、また休日の過ごし方としてはテーマパークやライブなどに足を運ぶのと同じように楽しめるものだ。

同じモータースポーツでも、ラリーの観戦はサーキットレースの観戦よりも身近なものと思われていないかもしれない。
その理由にはいろいろとあるだろうが、他のどのスポーツよりも「フィールドが広大」であることも挙げられる。サーキットであれば周回コースでフィールドの全体を想像しやすく、何度も自分の前をレースマシンが走行するが、ラリーの場合はスタートとゴールが別地点、コースも山の中などフィールドの全体を想像しにくいという面もあるからだ。

モータースポーツ、特にラリーを楽しむには、まずはフィールドの全体像を知ることが第一歩だ。スポーツである以上、どんな競技なのか、アウトラインを知ることは観戦の基礎知識として覚えておきたいし、慣れてくればより「ラリー」という競技の深い楽しみ方にもつながるものだ。

決して難しい内容ではないので、ぜひラリーを知る第一歩としてご覧いただきたい。
 
野球やサッカーであれば、スタジアムで眼前に広がるグラウンドが競技のフィールドだ。もちろん選手たちの動きは、観客席から全てを観ることが出来る。

モータースポーツ、例えばサーキットレースはこれよりもフィールドが広くなる。
国内主要サーキットはコース全長が3km台後半から6km近いものまでがあるが、いずれの場合も一カ所の観客席からコースの全てを観ることは不可能だ。ゆえに観客は特に激しいバトルやパッシングが繰りひろげられるコーナーであったり、圧倒的なハイスピードで眼前を駆け抜けるストレートなど、お気に入りの観戦ポイントをおのおのが見つけ出して、腰を据えて観戦したり、何カ所かのポイントを自ら動いてまわる。さらに、サーキットに設けられた大型ビジョンの情報を活用する観戦スタイルもあるだろう。

これがラリーとなると、そのフィールドはレースよりも格段に広くなる。レースは、あくまでも限られた敷地のサーキットというクローズド・コースが戦いの舞台だ。例外的には海外において開催される市街地レースや、ル・マンやニュルブルクリンクでの24時間レースもあるが、国内でそこまで広いフィールドのレースは存在していない。

もっとも、ル・マンやニュルブルクリンクも、ラリーに比べるとフィールドは小さい。全日本ラリー選手権の場合は、林道などを占有してタイムアタックを行う「SS(スペシャルステージ)」が概ね10〜15箇所は設けられ、その合計距離は100kmに近い場合もある。国際格式であるAPRC(FIAアジア・パシフィック・ラリー選手権)を併催するRally Hokkaidoであれば、200kmを超えるというビッグスケールだ。

ゆえにフィールドはひとつの市町村に留まるとは限らない。ホストタウンと呼ばれ、大会の中心的な存在となる街を軸に、隣接する自治体をあわせた広いフィールドが戦いの舞台となるのだ。
そして、このフィールドに大会の運営を司る機能や、タイムアタック競技が行われる「SS(スペシャルステージ)」、時間管理を行う「TC(タイムコントロール)」などが配される。

その全体像をまとめて観ることは現実的には不可能だが、ここでは基本的なラリー競技の流れとフィールドの全体像について、イラストでご紹介していこう。
選手たちが競い合う競技の流れは、要約すると上のようになる。

基本的な流れの例を挙げると、大会初日の朝にサービスパークと呼ばれるチームの拠点をスタートし、TC(タイムコントロール)に決められた時間に到着する。そして占有された林道などに設けられたSS(スペシャルステージ)では、全開のタイムアタックを行う。こうしたSS走行をいくつか重ね、お昼頃にはサービスパークに戻って決められた時間の中で車両整備などを行い、選手も束の間の休息を取る。
決められた時間でサービスパークを後にして、午後も数本のSSを走行して夕方に再びサービスパークへ。翌日に備えた整備や部品交換を決められた時間内で行った後、車両はパルクフェルメと呼ばれるエリアで厳重に翌朝まで保管される。

全日本ラリーは実質二日間で行われるので、大会二日目の朝はパルクフェルメを後にするところからスタート。
朝一番でサービスパークにおいて短い時間の車両整備を行った後、SSへと向かう。そして全てのSSを走りきってサービスパークへと戻ってきたマシンは、そのまま上位入賞車は再車検、それ以外はパルクフェルメで保管となる。

なお、レースではフィニッシュ直後に暫定表彰式が行われ、シャンパンファイトのシーンがお馴染みであるが、ラリーの場合は全ての大会で暫定表彰が行われるとは限らない。近年はエンターテイメント性を重視して、セレモニアルスタートやセレモニアルフィニッシュと呼ばれる式典も行われることが多く、これは必須の観戦ポイントとなる。

以下のイラストで、全体像の一例をご紹介しよう。各項目はクリックすると詳細な解説を表示する。
 
ラリーという競技をさらに細かく解説していくと、それだけで分厚い本を一冊作ることが出来るほどのボリュームになる。
もちろん、より深くラリーを知ることで楽しみもどんどん膨らんでいくが、まずは基本的なポイントとなる部分を抑えて、ラリーという競技の身近さと面白さを感じ取っていただきたい。

そこで、このコーナーではラリーを知る上で覚えておきたいポイントを、いくつかご紹介していこう。
サーキットレースでは、基本的にシーズンを通じて1台のマシンにはひとつのゼッケン番号が割り当てられる。しかし、ラリーの場合はゼッケン番号は固定ではなく、大会ごとに変わる場合もある。
割り当ては前年度のランキング順や、各選手の実績に基づいて主催者が決定する。基本的には「1」番を筆頭にJN4クラス勢が続き、JN3、JN2、JN1とコンパクトなマシンのクラスへとつながっていくゼッケン順となる。
1台ずつがタイムアタックを行うSS(スペシャルステージ)。その出走順は、2日間にわたって開催されることが基本の全日本ラリー選手権においては、各日の競技開始前に「スタートリスト」として発表される。概ね、初日のDay1はゼッケン順にスタート。2日目のDay2はDay1の結果に基づいて、上位から出走するかたちに入れ替えが行われることが通例だ。
ゆえに、観戦に際しては初日と2日目でお目当ての車がやって来るタイミングが変わる場合もあるので、主催者の公式ウェブサイトなどで発表されるスタートリストは要チェックだ。
ラリー競技の主戦場となるのが、占有された林道などのSS(スペシャルステージ)。何度も記しているように、このステージを1台ずつがタイムアタックして、その速さを競い合う。
SSは短いもので数百メートルから、長いものでは10kmを優に超えるものまで様々。いずれの場合もスタートは1台ずつで、基本的に1分間隔でスタートリストに沿って次々とマシンがタイムアタックに挑む。ただし、全車の中で最初にスタートする車両から数台については、その間隔が2分に設定される場合もある。
SSとSSの間や、サービスパークとSSをつなぐ「リエゾン」と呼ばれる区間は、公道を一般車両に混ざってラリーマシンが走る。もちろん交通法規に従っての走行となり、大会によっては高速道路を使ったり、市街地中心部を通過するルートが設定される場合もある。
この「リエゾン」こそがラリーという競技の最大の特徴とも言える。同じナンバー付きの車両で競われるレースやスピード行事(ジムカーナやダートトライアル)であっても、移動区間とはいえ競技中の車両が公道を走行することは無いからだ。つまり、自らが遠い競技会場まで足を運ばなくとも、リエゾンルートが近所に設定されていれば、競技車両の方からやって来てくれるのだ。
ラリーの運営で欠かせないオフィシャルカーについても、ぜひ知っておきたいところ。
「00(ダブル・ゼロ)カー」はSSの1号車スタート前、およそ30分程度を目安にステージを走行する。ペースは比較的スローで、SS内のオフィシャル配置などを確認するのが役目だ。そして「0(ゼロ)カー」は、おおむね1号車スタートの5〜10分前に、こちらは若干ハイペースでSSを走行する。0カーの役割は競技車両が安全に走行出来る状態にあるかを確認することだ。
ともに無線を搭載し、さらにコーションランプやサイレンなどを備える場合もある。もちろん両車ともに、競技に出場しているラリーマシンと全く同じ道のりを全て走行する。
ドライバーには相応の経験と技量を有する人材が充てられ、近年の全日本選手権では0カーのステアリングを新井敏弘選手が握るケースも多い。
これらの車両、特に0カーがやって来たら、観戦の準備を整えて1号車のスタートを待とう。
[UPDATE : 27.Jul.2012]
             
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