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観客を中心に考えることで絶大な支持を世界的に集めているWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)。
ファンがワクワクするレースを実現するために様々なアイディアが採用されているが、リバースグリッドやサクセスバラストなどはWTCCの盛り上げに大いに効果的なシステムである。
また白熱のレースを足元で支えるADVANレーシングタイヤの存在も大きい。
今回は木下隆之さんとピエール北川さんに、WTCCの人気を"縁の下"で支えているユニークな制度と、タイヤについて語っていただきました。
>> 2008年のWTCCについてはこちらから (日程・レポート・結果表・カテゴリー紹介)
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TALK WITH WTCC
WTCCは各大会で第1レースの結果を受けて上位8台をリバースグリッドとして第2レースをスタートしたり、戦績に応じて"サクセスバラスト"と呼ばれるウェイトを搭載するなどユニークな規則でイコールコンディション化とレーシングバトルの盛り上げを図っている。
このうちサクセスバラストは、2007年シーズンまでのウェイトハンディ制を改良したもので、シリーズポイントと前戦の戦績に応じてウェイトを搭載する仕組みである。
 
木下隆之さん :
サクセスバラストについては、ぶっちゃけた話ドライバーの立場としては「頑張ったのに、こんなに重くなるのかよ〜」と思う面もあると思う。
しかし、WTCCはあくまでも観客重視。見ている側がワクワクするための演出としてはとても効果的だし、歓迎すべき制度だと思うね。
バラストには最大積載上限があるので、シーズン終盤には上限いっぱいの重さになった車同士がチャンピオン争いをするだろうから、早い段階で重りをたくさん積んでいるというのも成績が良いことの証であるとも言えるしね。
リバースグリッドも、制度を巧く味方につけて第2レースでポールポジションを獲るのは名誉だと思う。
 
ピエール北川さん :
"サクセスバラスト"という言い方が良い表現ですよね。成功している人に搭載するバラスト、という言い方は"ハンディウェイト"という表現と比べてネガティブじゃない。
しかも凄いのが1kg単位で搭載されるんですよね。主催者にしてみれば1kgという細かい単位での管理ほど面倒なことはないでしょうし、チームにしても小さい1kgのバラストをきちんと搭載しなければならないので手間がかかる。
でも、そういう面倒な細かいことをきちんとやっているから、WTCCは面白いレースが実現していると言えるでしょう。
 
お二人ともにレースを盛り上げるのに大きく役立っていると絶賛するWTCCのリバースグリッドとサクセスバラスト。
ではサクセスバラストについて、重量の増加がどのくらい走行性能に影響を与えるものなのかを訊いてみよう。
 
木下隆之さん :
搭載量が40kgくらいになると、明らかにバラストの影響が出るだろうね。運動性能が下がって、特に限界付近での車の挙動がおかしくなっちゃう。
 
ピエール北川さん :
見ていると、バトルで接触した後のリカバリーで挙動の違いが明確に出ていますね。
軽いうちは何事も無かったかのようにすぐにコース上に復帰出来ますが、重たくなってくるとフラついてしまってコースに戻るのも大変そうです。
車種毎の違いで見ると、セアトの特にディーゼルはターボエンジンなのでバラストの影響が少ないかもしれません。シーズン序盤で上位を占めて、次のレースでバラストを搭載してきても思っていたより戦闘力が落ちなかったという印象です。対して後輪駆動のBMWは意外とバラストの影響を受けやすいかもしれませんね。

演出面でも効果的な制度の採用もあって、毎回白熱したバトルが観客を魅了しているWTCC。
世界最高峰のツーリングカーレースで演じられる迫力ある戦いを足元で支えているのは、ワンメイク指定を受けているADVANレーシングタイヤである。
 
木下隆之さん :
WTCCのタイヤを造るっていうのは、ホントに大変なことだろうね。
まずFF(前輪駆動)とFR(後輪駆動)、駆動方式が異なる車が一緒に走るわけだから、イコールコンディションを保つのが難しい。
自分たちの成績が良くなかったら、絶対にFF勢は「FRに有利なタイヤを造りやがって」と文句を言うだろうし、逆にFR勢も「タイヤがFFに有利なんだ」って言うだろうし。
同じスペックのタイヤを供給するということになっているから仕方ないけれど、ドライバー的な心情を思えば「バッチリ、オレの車に合うタイヤを造ってこい!」なんて、心の中では叫んでいるのかもね。
 
ピエール北川さん :
あれだけのバトルが最初から最後まで繰り広げられるんですから、タイヤの役割や担っている責任は大きいものがありますよね。
そういえばWTCCのドライバーは、タイヤの温存やマネージメントを考えながら走っているものなのでしょうかね?
 
木下隆之さん :
1レースが50km程度のWTCCでは、そんなにタイヤの温存は考えないだろうね。でも、たまに温存を図っている風の動きが見受けられることがあるのも事実。コースによっては前半で「ちょっと待っているな」と思える動きをする選手もいる。
お世辞じゃなくてADVANのレーシングタイヤはとても優秀な性能だけど、例えば僕がスーパー耐久で乗っているランサーエボリューションでいえば、IXからXになって100kg以上重量が変わったことでIXで文句無しの性能を見せていたタイヤでもパフォーマンスダウンは否めない。
WTCCの場合は駆動方式の違い、重量配分の違い、搭載するサクセスバラストの違いなどで車ごとの特性が全く異なるだろうから、同一スペックのコントロールタイヤではどうしたって自分の車に合わない、という場面が出てくるはず。
そんな時にはチームやドライバーがタイヤのマネージメントをしっかりやっていると思うね。
 
ピエール北川さん :
市販車に近い、レーシングカーとしては細めのサイズでスリックタイヤ。しかもWTCCって、アスファルトじゃない路面だってコースみたいに平気で走っちゃうじゃないですか(笑)。
相当にタイヤにとってきついレースであることは間違いないでしょう。
でも、ドライバーは周回数が短いので余計なことを考えている暇なんかなくて、本能的に「前の車を抜かなくちゃ」「トップに立たなければ」という思いで走っているような感じがしますね。
 
木下隆之さん :
あれだけ激しいスプリントレースとなると、なかなかレース中には「待てない」でしょう。
仮に1コーナーが抜きどころだったとしたら、1レース中に8回とか9回通過するその全てで勝負に出なきゃならない。
でも、タイヤの"美味しいところ"を勝負どころで使うためのマネージメントなんかはするだろうし、「待つ」というほど大げさなものではないにしても短いレースの中でタイヤの使い方の組み立てはしているだろうね。

 
2008年10月、いよいよADVANの母国でもある日本にWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)が初上陸を果たす。
戦いの舞台はF1開催の実績も持つ岡山国際サーキット。
次回、この対談の締めくくりでは、お二人に岡山ラウンドの見どころや日本初開催に寄せる期待を語っていただきます。
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