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[vol.1] WTCCの魅力を再検証! [vol.2] 谷口選手&新井選手に聞く [vol.3] 世界の走りを支えるADVAN
[vol.4] 2011年のWTCCと有力選手 [vol.5] 鈴鹿の見どころ、私のお薦め [vol.6] 現地から最新情報をお届け!
いよいよレースウィークに入ったWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)の日本ラウンド、「FIA WTCC Race of JAPAN」。シリーズも終盤戦に入ってドライバーズタイトル争いにおいても重要な一戦となるが、なにより4回目の日本ラウンドは戦いの舞台が鈴鹿サーキット・東コースとなっていることが注目を集めている最大のポイントになる。
全長2,248mの東コースを23周する決勝が10月23日(日)に2レース行われることになるが、この新たなステージでどのような戦いが演じられるのか、その興味は尽きない。
そこで、このコーナーではレーシングドライバー、モータースポーツジャーナリスト、そしてレースカメラマンのお三方に、鈴鹿・東コースでのWTCCがどのような戦いになるのかを、それぞれの立場から予想していただいた。モータースポーツに色々な立場で精通している皆さんがお薦めする観戦ポイントなど、参考になるアドバイスをお見逃し無く!
 
■土屋 武士 さん (レーシングドライバー)
ご存じ、SUPER GTやスーパー耐久などで幅広く活躍しているレーシングドライバー。
JTCC(全日本ツーリングカー選手権)では1998年に鈴鹿・東コースで開催された大会に出場、2レースをともに5位で完走した。
 
WTCCはシボレー、セアト、ボルボというFF(前輪駆動)車と、FR(後輪駆動)のBMWが戦っていますが、まずはこの駆動方式の違いに注目してみたいと思います。
一般的にFFはストレートが速く、対するFRはコーナーリング性能に優れていますが、これはWTCCでも同じですね。鈴鹿の東コースはクネクネした部分があるので、正直なところ運動性能としてはFRが有利かもしれません。しかしストレートも意外と長いので、この点ではFFも良い勝負が出来るでしょうね。

JTCCのことを思い出してみても、当時はFRのチェイサーとFFのコロナ・エクシヴで激しいバトルを展開しました。特に1コーナーではインの刺し合いになったりして。僕はエクシヴでしたが、高速コーナーでは負けている感じはしませんでした。ただ、後半セクションの立ち上がりで辛かった記憶があるんです。

高速コーナーというのは車そのものの運動性能でほとんど決まってしまうので、駆動方式がどうのこうのというよりも、例えば重心が低いかなどということがポイントになってきます。
FFでどこが辛かったのかというと、逆バンクからの登り、最終コーナーのショートットにかけての部分で、ステアリングを切りながらアクセルを踏んでいくためにアンダーステアが出やすいですし、タイヤの摩耗的にも厳しい。この部分ではFF勢泣かせという感じでしょうか。

ではFF勢に的を絞って考えてみると、戦い方としてはまず予選で前に出ることが必須ですね。逆にFR勢は、逆バンクの立ち上がりからどこまでFF勢に接近できるかでしょう。この辺りがパッシングポイントになるかと予想しますが、当然WTCCでは接触もあるでしょうね。ラインが少ないために抜き所が限られますが、そこで逆に世界のトップドライバーが妙技を見せてくれると思います。

もうひとつ重要なのがタイヤマネージメント。特にレース終盤でタイヤが厳しくなってくると、最終コーナーのグーッとまわりこんでいるところがきつくなってきます。ですから、タイヤを労るドライビングとセットアップ、一方ではストレートスピードをしっかり稼ぐこと、こういったバランスが求められます。

当然ですがバトルをすればタイヤは消耗します。経験のあるベテランと、勢いのある若手が入り交じってバトルを演じるWTCCの楽しさですが、ベテランの技と若手のアグレッシグな走りが、鈴鹿のテクニカルな東コースでどんな結果を見せてくれるのか。何が起こるかわからない、今年のWTCC鈴鹿ラウンドにはそんな楽しみがありますね。
 
■はた★なおゆき さん (モータースポーツジャーナリスト)
モータースポーツ専門誌などでもお馴染みのジャーナリスト。
トップカテゴリーはもちろん、アマチュアが主役のクラブマンレースもこまめに取材を重ねており、鈴鹿・東コースを最も熟知している一人だ。JMS(日本モータースポーツ記者会)会員。
 
WTCCの魅力といえば、日本のレースには見られない、ケンカみたいなバトル。何もかが規格外という感じで、どこでも行っちゃう、どこでも行けちゃうような走りが楽しめるところではないでしょうか。
最近の空力で押さえつけられたクルマとは違う、いかにもドライバーが必死にコントロールしているという感じが好きですね。

あとレースは斬るか斬られるか、って感じなのに、それ以外の時はドライバーみんなフレンドリーじゃないですか。その切り替わりが、すごいプロだなぁ、と。

ところで皆さん、鈴鹿サーキットでも東コースで行われるレースはそう見たことがないと思うんですけれど、鈴鹿クラブマンを全戦追いかけているような人を除けば、たぶん私がいちばん東コースのレースを見ているんじゃないでしょうか。
東コースといえば'90年代に行われたJTCCの記憶から、抜きくにくいコースで、あんまりレースは面白くないのでは、と思われているかもしれませんね。だけど、WTCCの空力、パワーのバランスからすれば、まずストレートでも十分スリップストリームは効きそうな気がします。したがって、1コーナーは最大のオーバーテイクポイントになりますよね。きっと毎周のようにポジションが入れ替わるでしょう。

もうひとつのオーバーテイクポイントは、最終コーナーに相当するショートカット。ここはブラインドのけっこう立ち上がりがきついコーナーなので、ちょっとでもインを開ければ、ズバッと刺されるのは間違いないでしょう。
インを刺されるという意味では、S字から先だってオーバーテイクポイントになりそうな気がします。たぶん、縁石だってまたいで走れると思うんですよ、WTCCのクルマならば。ラインが乱れたりすれば、思いがけぬところで抜かれてしまうということもあるでしょう。
というわけで、私はWTCCならば東コースは、全域オーバーテイクポイントになる! そんな大胆な予想をさせていただきます。

そこでお薦めの観戦ポイントですが、先に述べた理由から、どこで見ても面白い、と言いたいですね。その中でも特に、ということであれば、サイド・バイ・サイドのバトルを楽しめそうなS字。あと、何かが起こりそう……ということで、最終コーナーをお薦めしたいと思います。

スタートからゴールまで、緊張感を維持できる、これがスプリントレース最大の魅力だと思います。瞬きさえしたくない、っていうのはオーバーですけれど、雰囲気は分かってもらえるのでは? 特にWTCCの場合、じわじわ敵を痛めつけるのではなく、一発で仕留めてやろうという感じがあるんですね。
だけど、それを重ねていって、最終ラップに前に出られて、そのままゴールするって言う駆け引きの妙。レーシングドライバーにおける強さっていうのは、そのへんのうまさなんじゃないかと思います。レースが長くないから、体力的にもきつくなくて、だからこそベテランの技が光るっていうのも面白さ。
ずっと手に汗握りながら見ていて、もうちょっと見たかったなぁ、と思わせておいて、2ースあるっていうのも魅力のひとつであります。「また、見られるんだ!」っていう。ともあれ、いろんな意味で、楽しみです。
 
■小笠原 貴士 さん (カメラマン)
SUPER GTやスーパー耐久などの国内レースのみならず、ル・マン24時間レースなど海外のレースも撮影。WTCCは日本戦のみならず、マカオ戦なども撮影。モータースポーツ専門誌の誌面を多数の作品が飾っている。JRPA(日本レース写真家協会)会員。
 
WTCCの魅力は迫力あるバトルシーンに尽きると思います。
参加台数もさることながら、国内のGTレース等ではタブーとされる様な強引なパッシングシーンが各所で見られるところですかね。

今回の舞台となる鈴鹿サーキットの東コースですが、お薦めの撮影ポイントは2コーナーの立ち上がりから3番ポスト付近のS字スタンド席付近でしょうか。ここでは観戦エリアからでも金網にかからず、比較的低い目線のコースサイドで撮影している様な迫力ある写真を撮れる場所が少しだけ有ります。

でも、人気の撮影ポイントということで場所取りも大変なので、もう少し自由度を効かせられるという点では最終コーナー立ち上がりのスタンド席もお薦めですね。ショートカットの立ち上がりでストレートに向けての駆け引きが撮れますし、天気が良ければ路面の反射を生かしたり、逆光気味の印象的な作品作りが狙えるかもしれません。

WTCCを撮影する面白さや魅力はやっぱりバトルですよね。シボレー、BMW、セアト、ボルボと全く特性の異なるマシンが、おのおのの特性に合った場所で半ば強引に仕掛けてくる面白さを感じ取れます。鈴鹿・東コースでは、S字から逆バンクにかけては普段見られない様なバトルが期待できるので、今から楽しみです。

最後に「WTCCを格好良く撮るにはどうしたら良いか?」について、少しだけアドバイスを。
WTCCの場合はマシンの速さよりも、ドライバーの技術の巧さを表現した方が、世界最高峰のスプリントレースらしいカッコいい写真になると思います。

具体的には、速さを表現するのに安易にスローシャッターを切る人が居ますが、スローシャッターは遅くすればするほどスピード感は出ますが、ピントの合う範囲は狭まってきます。フォーミュラの撮影なら、極端な話ヘルメットにピントが合っていればマシンがブレブレでもサマになりますが、ツーリングカーの場合はヘッドライトやグリル周りだけピントが合っていても、写真として全体を見た場合に決してカッコいい表現にはつながっていない場合が多いです。

WTCCを格好良く表現するには、2台以上のマシンの距離感や縁石を含めたライン取りなどを巧く利用して、ガチンコ勝負をしている様な絵作りや、巧みなテクニックでマシンを操る姿を捉える写真を目指したら良いと思われます。
 
 
[UPDATE : 19.Oct.2011]
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